歯周治療後に望ましい治療形態を得るためには、硬組織・軟組織側の環境に加え、多くの因子が混在し、その形態を決定すると考えられる。実際の治療後の治療形態としては、上皮性付着および結合組織性の付着が確認され、特にlong‐Junctional epithellumの上皮の遊走は、線維芽細胞との接触により、遊走が停止し、上皮‐線維芽細胞の結合部が形成されるといわれている。又、上皮細胞単独培養と比較し、上皮細胞と結合組織性細胞を混合培養すると、上皮細胞の分化増殖が強く、更に、細胞間、結合組織細胞との結合などの特性発現が生じる。即ち、上皮細胞と結合組織性細胞との相互作用は細胞の恒常性維持に重要であり、更に、歯周組織においては、これらの接着依存性細胞の歯面への付着の要素が加わり、相互作用を有しつつ、治癒形態が決定されると考えられる。本実験では、当医局で開発された、上皮細胞・歯根膜由来線維芽細胞・歯根面の三つの要素を備えた三次元培養法を用い、未処理歯根面脱灰処理歯根面における細胞の付着様式に関して検索した。7日間培養状態について、光顕および電顕的観察を行なった。その結果未処理群に比較し、脱灰群においてlong‐Junctional epitheliumの深行化は、統計学的有意差が認められないものの、やや抑制傾向が認められた。更に歯根面と歯根膜細胞間にはアマロファスな物質の増加や既存の歯根面から突出するコラーゲン線維にこれらの物質が近接する像や、gel内の線維成分と一部interdigitateする像も認められ、根面の性状により、これらの細胞様式に相違が生じうる可能性が示唆された。
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