研究概要 |
【研究目的】生体防御の基本であり、炎症、免疫反応において重要な役割を果していると考えられるマイクロファージの走化性に着目し、各種根管充填材によるマイクロファージの走化活性を比較することを目的とした。 【材料および方法】Mphiの採取はウィスター系雄性ラット(7〜8週齢)腹腔内に10%プロテオースペプトンを注入し、4日後にHBSSにて腹腔滲出細胞を回収することにより行なった。被検材料はCanals(昭和薬品社製),Canals-N(昭和薬品社製),Sealapex(Kerr社製),Finapec APC(京セラ社製)を用いた。それぞれの根充材が硬化した後、微粒粉砕器にて粒子を作製した。各根充材粒子0.01、0.05、0.1gを10mlの10%FCS加 RPMI1640に懸濁し37℃恒温振盪槽にて3時間浸漬して遠心分離後 上清を被検試料とした。コントロールとしてザイモサン処理血清(ZAS)を培養液で25%に希釈したものを用いた。走化試験はmulti-well chamotaxis chamber(Neuro Probe 社製)を用いたmembrane filter法で行なった。membraneは8mumpore sizeのpoly-carbonate filterを用い上室に細胞浮遊液、下室に各被検試料を満たし、37℃5%CO_2で120分間インキュベートした。DiffQuick(国際試薬)にて固定染色した後フィルター下面に遊走した細胞を倍率400倍で無作為に5視野カウントし1視野あたりの平均走化細胞を算出した。これらは別にchemokinesisとchemotaxisを区別するためチェッカーボード分析を行なった。 【結果】走化細胞数はCanals浸漬液が他の3種の根充材より多く濃度上昇に伴い増加した。Finapec浸漬液は各濃度でネガティブコントロールに近い値を示した。Canals-N,Sealapex浸漬液については濃度上昇に伴いわずかな増加が見られた。ポジティブコントロールとして用いたZASは他と比較し多量の走化細胞が確認された。
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