軟質裏装材およびペリクルがCandida albicansの発育および定着に及ぼす影響を検討した結果、以下の知見を得た. 1)軟質裏装材に対する付着は被着体の疎水性と関連が見られたが、ペリクルが存在する場合その影響は見られなくなる. 2)軟質裏装材表面における発育は、レジン表面に比べ有意に抑制される. 3)このような市販軟質裏装材のC.albicansに対する発育抑制には粉末に添加された抗菌性物質だけでなく、液成分あるいは被着体の付着能が関与している. 4)液成分による発育抑制をより詳細に調べた結果、特に毒性の高い可塑剤により阻止帯の著明な形成が認められた。 5)このような可塑剤によるC.albicansの発育抑制は、試作した軟質裏装材(ゲル体)でも認められ、市販製品のC.albicansの発育抑制にはこのような液剤の作用が大きいことが示唆された。 6)また、可塑剤の種類によってエタノール含有量の影響は全く異なっており、軟質裏装材の組成によってC.albicansの発育は全く異なっていた. 7)このような軟質裏装材の組成はC.albicansの定着にも影響を与え、ある種の可塑剤を用いた場合、C.albicans酵母型の材料中への侵入が誘発された. 8)ペリクルの種類によってC.albicansの軟質裏装材表面への定着は異なっていた.特に全唾液および血清によって形成されるペリクルはC.albicansの定着を促進した. 9)このような唾液および血清ペリクルはC.albicansの菌糸発育を促進し、さらにその材料内への侵入を助長した。
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