研究方法 1.個性正常有歯顎者40人(男性20人、女性20人)を被験者とし、九州大学式非接触3次元精密変位計測システムを用いて下顎運動を測定した。 2.被験運動は、最大開閉口運動とした。 3.解析点は、切歯点及び両側顆頭点とした。 4.計測項目. 1)解剖学的項目; 下顎の大きさを代表すると考えられる項目を採用した。すなわち、切歯点-全運動軸間距離(L)、左右顆頭点間距離(Hc)、左右平均的顆頭点間距離(Ha)。 2)運動学的項目; 咬頭嵌合位と最大開口位の2顎位における、下顎の相対的位置を表す項目を採用した。すなわち、各解析点の3次元座標、及びそれらから算出される解析点の運動量、また2顎位間の下顎真の回転角度。 5.解析方法 1)切歯点の運動から顆頭点の運動をもっとも正しく推測するための説明変数を、変数増減法を用いて決定した。 2)その説明変数を用いて、顆頭の運動を推測するための重回帰分析を行い、顆頭点の運動量を目的変数とする重回帰式を決定した。。 結果 1.下顎の最大開閉口運動においては、下顎の大きさを代表する解剖学的指標としては、切歯点-全運動軸間距離(L)が最も有効であった。 2.下顎の最大開閉口運動において、顆頭運動量(Cms)を目的変数とした場合、説明変数には、(1)L、(2)下顎の回転角度(Am)、(3)最大開口位における切歯点のx座標(mix)、(4)切歯点のz座標(miz)、の4変数が導出された。 重回帰式は、 [Cms]=1.06*[Am]+0.50+[mix]+0.45*[L]+0.41*[miz]-33.89 このとき、決定係数R^2=0.7798、重相関係数R=0.8687となり、分散分析の結果、この重回帰式は、1%の危険率で有意であった。
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