研究概要 |
加熱重合接着性床用レジンが開発されたが,貴金属合金との接着に関しては特別な表面処理方法が必要とされている.したがって,貴金属合金を有床義歯補綴に応用するにあたって,簡便で且つ効果的な表面処理方法が望まれるところである.今回,4点曲げ試験片を製作するため,臨床上使用頻度の高い金銀パラジウム合金を用い,鋳造により板状試験片を製作した,その両側面を エメリ-紙とアルミナのバフ研磨にて鏡面とし,Adlloy処理法とスズ電析法により表面改質を施した.この面に,4-META含有の加熱重合床用レジンを接着した.試験片には,繰り返し4点曲げ荷重を負荷した後,37°Cで水中浸漬を行ない,口腔内環境下を想定した接着界面の耐久性を比較・検討した.その結果,繰り返し4点曲げ試験の後に,37°Cの水中浸漬した試験片の色素侵入阻止効果は,Adlloy処理法の方がスズ電析法よりもより高い数値を示し,Adlloy処理の化学的接着力の優れた効果が明らかになった.しかし,今回製作した試験片は,臨床で使用している義歯を想定し,その両側面に加熱重合レジンを接着したため,1つの試験片で2面の色素侵入率が得られたが,その2面の結果が相反した場合があった.これは,試験片製作の失敗として削除したが,試験片の形態および製作の方法を再検討する必要が認められた.また,今回,データ数の不足により比較・検討できなかった他の歯科用合金(コバルトクロム合金,金合金)や,金属表面処理法(G-Cメタルプライマー)を施した試験片との比較・検討を引き続き行ない,加熱重合接着性レジンにおける金属表面改質法の接着強度の有効性について明らかにするため研究を行なう予定である.
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