研究概要 |
3種類の市販チタン鋳造システム(ヨシダ、モリタ、ジ-シ-)を用いて鋳造実験を行い、鋳造圧と鋳造性および鋳造欠陥の関連性について調べた。各々のシステムにおける鋳造圧はヨシダの鋳造機(キャストマチック)が0.6,1.2,1.8kg/cm^2、モリタの鋳造機(サイクラーク)が1.2,1.5,1.8,2.1kg/cm^2、またジ-シ-の鋳造機(オートキャストHC‐III)は2,4,6,8kg/cm^2とした。 その結果、いずれのシステムでも鋳造時のアルゴンガスの圧力が高いほど鋳造性が向上することが認められた。一方、鋳巣(内部欠陥)についてはモリタ、ジ-シ-のシステムでは鋳造圧との関係が顕著ではなかったが、ヨシダのシステムでは鋳造圧が高いほど鋳造体内部に球状の欠陥を生じやすい傾向が認められた。特に、鋳造時に溶解室での加圧だけでなく鋳型室でも吸引を併用すると、鋳造性が良くなるものの、鋳巣が急激に多くなることが判明した。従って、加圧方式でのチタン鋳造でできるだけ欠陥の少ない鋳造体を得るためには、鋳造時の過大な圧力は避けた方が良いと考えられた。しかし、各システム間で、鋳造温度や鋳型の成分などいくつかの相違点があるため、さらなる検討が必要である。また、チタンの特性を生かした補綴物製作のためには鋳型成分とチタン溶湯との反応も大きな要因である。そこで、各システムで鋳造したチタンの表層から内部への硬さ試験を行い、チタンの酸化や反応について評価した。焼成後の鋳型成分にアルミナを含んでいるチタンモ-ルド(ヨシダ)とT-インベスト(ジ-シ-)から得られた鋳造体は表面の硬さが約500Hvと鋳造前のインゴットの値(約110Hv)に比べて非常に大きい値を示した。これに対して、チタベストCB(モリタ)と当教室でチタン鋳造用埋没材として検討を重ねているカルシアの鋳造体は、鋳型との型離れが良く、硬さも約300Hvと低いことから、チタン鋳造に極めて有用な埋没材であることが示唆された。
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