研究概要 |
今回、合着材は、リン酸亜鉛セメント、グラスアイオノマーセメント、カルボキシレートセメントの3種類とした。浸漬する溶液は精製水及び口腔内の状態を考慮し、精製水を用いて0.01Mに調整した乳酸溶液とした。練和した合着材は練和終了後ただちに円柱状のアクリル型に填入し、練和終了1分後、練和終了3分後、合着材硬化直後、練和開始から60分後に各溶液に浸漬した。硬化時間はリン酸亜鉛セメントで10分、グラスアイオノマーセメントで5,5分、カルボキシレートセメントで7分とした。溶液中に浸漬した試料は、24時間後にエポキシ樹脂にてアクリル型ごと包埋し、包埋24時間後に試料上面と垂直に中心部を切断、研磨し、合着材の研磨面中央のビッカース硬さを微小硬度計を用いて測定した。また、写真撮影を行い測定面の表面性状を観察した。 1.いずれの合着材においても各浸漬溶液に対し浸漬時期が早いほど、より深部にまで硬さの減少が見られた。 2.水中浸漬時期の影響は、合着材の種類により異なった傾向を示し、グラスアイオノマーセメント、リン酸亜鉛セメント、カルボキシレートセメントの順に大きかった。 3.乳酸溶液に浸漬した本実験の結果は、いずれの合着材も精製水浸漬時とほぼ同じ結果を示し、早期水中浸漬の際の浸漬液の違いが合着材の硬さに及ぼす影響に明らかな違いは認められなかった。 近年、各メーカーより従来の合着材に改良を加えた製品が登場しており、また接着性に優れたレジン系の合着材も開発されている。したがって、今後これらの合着材についても検討を行っていく予定である。 今年度は、合着材の成分と硬さとの関係についての検討は行ってないが、今後新たな合着材を含めて検討する予定である。
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