ゴムの噛みしめによる硬さ識別能力については、調査が進められているが、咬合面間において破壊・溢出を示す超軟性食品についての咬合による硬さ識別能力についての調査は不十分である。そこで、本研究では硬さ識別時の発揮咬合力が小さくしかも咬合面間において破壊・溢出を示す超軟性食品を用いた硬さ識別能の調査を行なった。 被験食品は、破壊所要力量が200g、275gおよび350gの硬さを示す寒天ブロックである。これらのブロックの中から破壊所要力量275gを示すブロックを対照として、第1大臼歯部で1回噛ませ、ついで、任意の硬度のブロックを同様に1回噛ませ、前者に比較して後者が「硬い」、「同じ」、「軟らかい」のいずれに感じたかを答えさせた。 1.破壊所要力量が200gから350gを示す超軟性食品についての、硬さ識別テストにおける平均正回答率は、275gのブロックを対照とした場合に、200g、275gおよび350gの各ブロックで、それぞれ、60%、48%、および70%を示した。 対合する歯牙の歯周組織に麻酔を施した場合には、硬さ識別テストにおける平均正解回答率は、275gのブロックを対照とした場合に、200g、275gおよび350gの各ブロックで、それぞれ、36%、56%、および44%を示し、硬さの識別は困難となることが認められた。 以上の結果から、275gから425gの範囲の荷重領域では、咬合による硬さ感覚には、歯根膜の受圧感覚が重要であると判断される。
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