新しい耐火材と結合材は、湿式法で合成した。すなわち、リン酸アルミニウム耐火材は活性アルミニウムと第一リン酸アルミニウムの混合したスラリー液を乾燥し、加熱して合成した。さらに、熱処理によりベルリナイト(石英型)に転化させた。このベルリナイトの結晶性をX線回拆法で検討した結果、かなり結晶性の高いものが生成していた。これらの結晶性は第一リン酸アルミニウムと活性アルミナの配合量やまた活性アルミナの種類によって異なった。さらに、乾燥する温度や加熱する温度によって生成するリン酸アルミニウムの種類や結晶性も異なった。このため、結晶性の良いリン酸アルミニウム(ベルリナイト)の生成する条件を見つけ、この条件にてベルリナイトを合成し、耐火材に使用した。 結晶性の良いベルリナイトの膨張量を熱分析装置で測定した結果、線膨張で3〜6%の高い値を示した。この大きい膨張は、従来から知られているalpha-beta転移による膨張だけでなく、リン酸アルミニウムに特有な再組織型転移による膨張が加算されたものであることがわかった。 結合材の調整は、最初にアルミナ水和物を合成し、すなわち10〜30%硫酸アルミニウム溶液に沈殿剤として5%アンモニア水を滴下し、pHを7.5〜8.5に調整した各種アルミナ水和物を沈殿させた。合成したアルミナ水和物はAl_2O_3・5H_2Oであった。次に、各種合成Al_2O_3・5H_2Oと反応材である第一リン酸アルミニウムを混合し、埋没材の結合材とした。結合材の硬化時間と強度を測定した結果、十分に埋没材の結合材として使用可能なことがわかった。 この試作埋没材を使用して実際に鋳造を行い、適合性について金型クラウンを用いて検討した。鋳造用合金は、中溶合金として金銀パラジウム合金、高溶合金として、コバルトクロム、金合金を使用した。結果として、鋳造体の適合性は、試作埋没材を各種合金の鋳造収縮に見合った膨張量にコトロール(シリカ耐火材を混合)することで、優れた結果が得られた。
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