研究概要 |
変色歯に対してポーセレンラミネートベニア法を用いて審美修復を行う場合,支台歯の変色を遮蔽することが最大のポイントとなる。今日,ラミネートベニア専用に開発されたマスキング材を使用することで天然歯に近い色調で支台歯の変色を遮蔽することが可能になった。しかし,症例により変色の部位あるいは程度は様々であり,個々に応じてマスキング材の厚み,および使用範囲を設定しなければならない。そこで予後を大きく左右する接着操作,特にラミネート専用レジンセメントの接着強さにマスキング材の厚みと光照射時間がどのように影響するか検討した。 ポーセレンラミネートベニア試料全体の厚みを1mmとし,その中でマスキング材の厚みをOmm,0.1mm,0.3mmと変化させ,ボディポーセレンのシェ-ドをA-2とした試料を製作した。一方,被着試料としてヒト上顎中切歯を用い,接着面をエメリ-ペーパー#400にて表面研磨を行った後,被膜厚さ20mumに規定し,光重合型接着性レジンセメントにて接着した試料を製作した。接着に際しては光照射時間を40秒と60秒に設定した。接着された試料をサーマルサイクリングにより熱的負荷を与えた後,圧縮剪断装置を用い破断時の荷重から接着強さを測定した。 光照射時間が40秒においてはマスキング材の厚みが厚いほど接着力は弱く,60秒においてはほとんど差は認められなかった。よって光照射時間を60秒以上行うことによって接着性レジンセメントの十分な硬化が得られることが示唆された。
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