研究概要 |
抗痙攣剤のカルバマゼピン(CBZ)は,三叉神経痛に著効するが,めまいの副作用のために内服不能の症例もあり,また体内薬物動態にも個人差があるため,投与量は,作用や副作用の発現をみながら経験的に決定されている。そこで本研究は,CBZ投与後の重心動揺変化を詳しく分析し,血中濃度との相関を検討した上で,CBZの安全な投与方法を追求することを目的として行なった。 対象は,CBZ常用三叉神経痛患者10症例とし,薬剤の投与前,投与30分後より30分おきの重心動揺の定量的測定を行った。定量的重心動揺は,本年度整備調整した重心計(SG-1)を用い,開眼および閉眼の条件下に重心動揺距離,重心動揺速度および面積の測定を行った。その結果,10症例中2症例でめまいの自覚症状が認められ,これらの症例はいずれも重心動揺の増大を認めた。また,自覚症状としてめまいを認めない症例でも重心動揺の増大が認めた。これらの重心動揺増大は,内服後2時間でほぼ元に復した。以上より,CBZ内服後2時間程度の安静により実際の重心動揺は回復すると考えられる。 さらに,得られた重心動揺波形データを重心動揺システムアップ装置を用いてAD変換した。周波数解析については,解析のためのソフトウエア購入が予算的に無理であったため,今回はデータをフロッピ-ディスクにストックした。これらのデータは,今後,専用ソフトウエアを用いて解析する予定である。 また,さらに症例数を増やし,解析方法についても改良を重ねて研究する予定である。
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