歯牙の形態および顎骨形態のヒトに対する類似性などから、日本猿を使い、実験的に単一歯牙(上顎側切歯)の歯牙歯槽部骨切り術を行い、その骨性治癒は組織標本を作成して検討した。また血管再生については、歯髄血流の回復状態をレーザードップラー血流計を用いて検索した。 術式は気管内挿管による全身麻酔下に、歯牙歯槽部の骨切りを骨ノミなどにより行い、歯牙の唇側移動を行い、シ-ネで固定する。実験では歯根尖より5mmのところで水平骨切りを行う群(5mm群)と10mmのところで骨切りを行う群(10mm群)の2群に分けて、その骨性治癒機転を観察した。 その結果術後2週頃より新生骨の形成が認められ、8週で新生骨梁による架橋がほぼ完了することがわかった。5mm群と10mm群では骨性治癒機転には著明な差は認められなかった。しかしレーザードップラー計による測定では、歯髄内血流は10mm群の方が5mm群よりも、血流回復が優れている可能性が示唆された。
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