口腔癌発生に与える喫煙あるいは飲酒などの生活習慣の影響とその個体感受性の有無を調べるために以下の研究を行った。 1.現在、当科受診口腔癌患者約100名の生活習慣調査を行なっている。これまでの結果では、口腔癌、とりわけ口底癌あるいは中咽頭癌患者で喫煙率が高く、1日あたりの喫煙本数も健常人に比べて多いことが観察されている。 2.次に、これら口腔癌患者30名より採血を行いタバコ中の癌原物質の代謝的活性化に重要な役割を果たしている。P-450IAI遺伝子の3'下流領域のMspI多型を解析した。その結果、健常人と比較してその分布に差を示す傾向が認められているものの、その差は統計学的に有意ではなかった。 近年P-450IAI遺伝子にはMspI多型以外に構造遺伝子内にも多型が存在し、その結果として462番目のアミノ酸残基にバリンあるいはイソロイシンを持つ2種類の活性の異なる蛋白分子の存在することが明らかになっていることから、現在、上記結果を基に口腔癌、特に口腔癌と中咽頭癌に注目してその発生とこれら遺伝子多型との関連についての解析を進めている。
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