ボランティアの健康成人を対象とし、ミダゾラムbolus投与群と維持投与群の2群に無作為に分け、その鎮静度と呼吸、循環動態、血中ミダゾラム濃度の変化、また拮抗薬フルマゼニル投与後の変化について比較検討した。被験者左側前腕の皮静脈に静脈路を確保し、bolus投与群では鎮静導入時、ミダゾラム0.075mg/kgを静注し、維持投与群では鎮静導入時ミダゾラム0.05mg/kg、その後鎮静維持としてミダゾラム0.025mg/kg/hrとなるよう1時間持続点滴投与した。鎮静導入のためのミダゾラム投与後、1分、7分、15分、30分、60分に被験者の右側腕正中静脈に留置した20ゲージ留置針より血液を採取し、血中ミダゾラム濃度を測定した。鎮静終了後、拮抗薬フルマゼニルを0.2mg投与し、4分後著明な覚醒が得られない場合0.1mgずつ追加投与し、最大投与量は0.5mgとした。鎮静法施行中、拮抗薬投与後、それぞれの循環動態の変動、末梢動脈血O_2飽和度、呼吸数の経時的変化を記録した。鎮静度の判定は、1:覚醒している、2:うとうとしている、3:睡眠しているが呼びかけに応じる、4:完全睡眠していて呼びかけに応じない、の4段階で評価した。bolus投与群では鎮静法施行中の血圧は軽度低下する傾向が見られた。これは鎮静導入前の緊張感のため血圧が正常時より上昇していたのも大きな原因と考えられ、特別な処置を必要とする症例は認めなかった。心拍数はほとんど変化しないか、軽度減少する傾向が見られた。呼吸数は増加する傾向が見られたが、末梢動脈血酸素飽和度は低下する傾向が見られた。これは一回換気量が減少するためであろうと思われた。拮抗薬フルマゼニル投与により、呼吸循環動態ともに鎮静法施行前とほぼ同程度まで回復し、十分な覚醒が得られた。維持投与群については現在検討中である。
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