口腔領域における遊離皮弁移植後の機能回復に関する研究に先立ち、血管柄付き遊離皮弁における基礎研究を行った。第38回日本口腔外科学会総会において移植後の初期における血行動態および治癒経過を検索し報告した。実験は、3.0kg前後の白色家兎20羽をペントバルビタール静脈内麻酔下に左側鼠径部に同側の浅下腹壁動静脈を血管柄とする3×3cmの円形の遊離皮弁を挙上し手術用顕微鏡下に、同動静脈を剖出切断後、10-0ナイロン糸にて端端吻合、皮弁を4-0ナイロン糸にて元の位置に縫着した。術前、術後1、2、3、7日後に静脈内麻酔下に血流測定をした。術後1、3、7日後に屠殺し、H-E染色にて観察した。血流計による測定値は、血流計による測定値は、術前値は25.0±5.2ml/min./100gであった。生着例ではほぼ一定の値を示していたが、皮弁壊死例では、術後1日例で、8.2±2.5であり、2日例以降では、ほぼ0となっていた。術後7日例で上皮の連続性および境界部において線維芽細胞、新生血管様の管腔構造物が認められた。
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