顎骨内嚢胞(歯根嚢胞、濾胞性歯嚢胞、原始性嚢胞、顔裂性嚢胞)の裏装上皮に出現した線毛細胞と粘液細胞について光顕的および電顕的に観察し、さらにレクチン組織化学的に検索を加え、これらの細胞の持つ症状について検討を加えた。方法としては、 1.被検検体に病理組織学的染色(ヘマトキシリン・エオジン染色、PAS・アルシアンブルー染色、唾液消化PAS・アルシアンブルー染色)を施し光顕的に観察した。 2.光顕的に分類された線毛細胞と粘液細胞を電顕的に観察した。 3.光顕的に線毛細胞と粘液細胞の認められた症例について、レクチン組織化学染色を施し、これら細胞の染色態度を判定した。 以上の方法により以下の結論を得た。 顎骨内嚢胞の重層扁平上皮に混在して、嚢胞内腔側に線毛構造を持ち、グリコーゲンを有する線毛細胞と粘液を有する粘液細胞が認められた。 電顕的に線毛細胞は表層に良く発達した線毛を有していた。また、粘液細胞は胞体内に豊富な分泌顆粒が認められた。 レクチン組織化学染色において線毛細胞の糖衣は、Con A WGA、RCA-IおよびUEA-Iに陽性反応を呈し、また、粘液細胞の胞体内においても、Con A WGA、RCA-IおよびUEA-Iに陽性反応を呈し、対照とした唾液腺の粘液細胞とほぼ同様の結果であった。
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