研究概要 |
1.SCIDマウスの組織学的検索では、NNL群以外で、腹腔リンパ節の腫脹と肝臓、腹腔内に腫瘍組織を認めた。病理組織学的に腫瘍構成細胞は異型性を示す大型細胞とblasticな中型細胞からなり、肉芽腫の形成などを示さないことから形態学的にnon-Hodgkin typeの悪性リンパ腫と診断した。 2.SCIDマウス各臓器でのサイトカイン発現の検討では、腫瘍を認めたマウス各臓器において、IL-6は肝臓、リンパ節、腹腔内腫瘍組織に強い発現がみられ、脾臓で弱く、腎臓では認められなかった。また、IL-1beta,TNF,ADFもIL-6と同様に強い発現が認められた。 3.SCIDマウス血清中のヒト免疫グロブリン量の検出では、SGL群では注入後2週目から上昇を認め、6週目で急激に上昇した。SPL群では6週から上昇を認め、9週目で急激な上昇を認めた。NPL群では2週目から9週目まで緩やかな上昇を認めたが、NNL群ではほとんど変化なく低値を示した。 4.SCIDマウス末梢血MCにおけるEBVの量的推移では、患者唾液腺MCでは明らかなEBVを認めたが、マウス移入後、減少傾向を呈し、4週目以後上昇傾向を示した。SPL,NPL群では、末梢血MCでは極めて少数または検出不可能であったが、7週目よりHLA-DQalphaと共に上昇傾向を示した。NNL群ではEBVは認められず、HLA-DQalphaも移入後から減少し、3週目では消失した。また、SCIDマウス肝臓に見られた腫瘍組織ではいずれも強いEBVとHLA-DQalphaのシグナルを認めた。 以上の事から、本疾患に認められるにpolyclonal B-cell activationにEBVやEBV感染に伴う様々なサイトカインの関与が示唆され、加えてSCIDマウスはEBV感染によるB細胞の病的変化を把握するための動物モデルとして有用であると考えられた。
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