水平位から頭部低位への体位変換により、側脳室圧(LVP)、上矢状静脈洞圧(SSSP)は上昇したが、両者の変化量は同程度であり、脳脊髄液呼吸の作動圧であるECSFPには有意な差は認めなかった。平均体動脈圧(MAP)は、10分後には対照値に対し上昇を認めたが、70分後は有意な差は認めなかった。脳脊髄液産生量(Vf)、呼吸量(Va)は、水平位と頭部低位との間で差は認めなかった。しかし、15cmH_2Oの頭蓋腔内静水圧負荷により、産生量は、水平位、頭部低位とともに減少した。呼吸量は、両体位とも増加したが、変化量は頭部低位の方が大きかった。 以上のように、頭部低位状態下では、CSFの吸収能の亢進が明らかとなった。 しかし、ECSFPが同一であるにもかかわらずこの現象をみたことは、CSF呼吸機構に関与する他の因子の存在が示唆された。
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