研究概要 |
これまでに成人について報告した「咬合接触のの3次元解析システム」では,顎運動の測定にディジタル方式顎運動測定器(MM-JI)を使用しているが,測定器の重量などの点から小児の被験者には適用がやや困難である. そこで顎運動測定については徳島大学歯学部第2歯科補綴学教室が開発中の「磁気位相空間を応用した6自由度顎運動測定器」に変更することで,小児被験者にも容易に適用できるようにした.本測定器は被験者に対する負担が少なく,より生理的な状態での測定が可能であるが,測定精度は従来用いていたディジタル方式顎運動測定器よりも劣るため,まず新システムの精度を検討する目的で,成人について従来のシステムと今回変更を加えたシステムの両方で同一被験者を測定した.その結果,新システムにおいても咬合状態を解析する上ではある程度の信頼性を有していることが確認された. つぎに齲蝕が無く正常歯列を有するHellmanの歯年齢IIA期,年齢4歳11ヶ月の女児を被験者としてこのシステムを適用した.被験運動には左右側方滑走運動および咀嚼運動を選択した.歯列の3次元形態については従来と同様に被験者の上下顎歯列模型をCNC3次元座標測定機を用いて250mum間隔で計測した.得られた顎運動データと歯列の形態データは,ワークステーションに転送後,データ解析を行い,グラフィックターミナル上で小児の咀嚼運動中の咬合接触およびクリアランスの状態を観察することができた. 以上の結果を第31回日本小児歯科学会大会において「小児の咀嚼運動と咬合状態の観察」の演題名で発表した.
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