研究概要 |
材料並びに方法 生理食塩水中に冷凍保存した牛下顎乳切歯を用いた。6種の歯面処理材,4種のプライマー,2種のライナー,4種のボンディング材と4種のコンポジットレジン材を用いた。歯面処理効果について走査電子顕微鏡(SEM)で観察した。材料を空中に30分間放置後37℃の水中に24時間浸漬した非サーマルサイクリング群並びに4℃と60℃の精製水中に各1分ずつ1往復を1回をして10,000回サーマルサイクリングを行ったサーマルサイクリング群について,剪断接着試験を行った。剪断接着試験後の象牙質面とレジン面をSEMで観察した。 結果並びに考察 1)歯面処理効果は,歯面処理材による差よりもむしろ,歯牙の個体差による影響が大きいように思われた。2)すべての歯面処理材を用いた場合について,歯面処理後の象牙質面では,象牙細管開口部が観察され,管間象牙質と管周象牙質両者の構造に明らかに変化が見られた。特に象牙質最表層の基質とコラーゲンの変化が著しかった。3)プライマー塗布後の放置時間は,接着強さに影響を与えるようであった。4)プライマーを併用する商品で高い接着強さが得られた。5)同じ歯面処理材,プライマー,ボンディング材を使用した場合でも,コンポジットレジンを変えると接着強さに有意な差が生じた。6)hybrid layerの存在は,必ずしも接着強さを向上させるものではなく,hybrid layerの性状が接着強さと密接に関連しているように思われた。
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