目的:本研究の目的は、T-スキャンシステムによりミシガンスプリント上の咬合接触点の変化を定量的に評価し、顎関節症患者の顎関節の病態との関係について解明することである。そこで、今回は、T-スキャンシステムがミシガンスプリント上の咬合接触点を正確に再現することが可能であるのかについて検討を行った。 研究対象および研究方法:研究対象は顎口腔系に異常を認めない男性(27歳)である。研究方法は、まず、通法に従いミシガンスプリントの製作を行い被験者に装着させ、下顎の前歯部切端ならびに臼歯部頬側咬頭頂すべてがミシガンスプリントに接触するように咬合紙を用い調製した。次に、センサーを口腔内に挿入しハンドルは被験者に保持させ、術者が下顎を中心位に誘導し、咬合接触点の数、位置の解析が可能であるTIME ANALYSIS MODEにより咬合接触点の印記を行った。咬合接触点の記録は4回ずつ行い、4回の合成値の咬合接触点の数および位置の比較を行った。咬合接触点の位置はアーチモデルにXY座標軸を設定し計測した。また、アーチモデルの再現性を高めるため、ミシガンスプリントはシリコーンラバーによりセンサーホルダーに固定した。センサーは、感度が高く小数の接触点の解析に有効であるホットセンサーを用いた。 結果および考察:1回目の合成値では、咬合接触点は10点認められた。2回目の合成値では、咬合接触点は8点認められ、8点の座標は全て1回目の合成値の座標と一致した。この結果は、接触点の数は80%に減少したものの、接触点の位置は全て一致し、再現性は十分に得られると考えられた。
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