1993年7月と11月に与那国島において海産無脊椎動物の採集を行なった。これらの脂溶性エキスのうち、細胞毒性の顕著な3種の海綿のエキスの分離を行ない、以下の細胞毒性成分を得た。 海綿Facsiospongia rimosaからは、2つの既知フラノセスキテルペンの他に顕著な魚毒性と微小繊維集合阻害作用が知られているマクロリド成分latrunculin-Aと既知マクロリドfijianolida AおよびBを見い出した。fijianolida AおよびBは、同時に報告されていたisolaurimalideおよびlaurimalideとそれぞれ同一物質であることを確認した。さらに詳細に成分を検索することにより、fijianolide Cと命名した新規マクロリドを得た。これの化学構造は、NMRなどの解析によりfijianoilide Aの立体異性体とを推定している。これらのマクロリドは、いずれもP388等の培養細胞に対し、IC_<50>が5-50ng/mLと強い細胞毒性を示した。尚、fijianolideからは結晶が得られたのでX線結晶解析による立体配置の解明を現在検討している。 別のNiphatidae科の海綿からは、既知ポリアセチレン化合物のpetrosynoneとpetrosynolのほかに6つの関連化合物を見いだし、NMRで構造を推定した。これらの化合物も、IC_<50>0.1mug/mL程度の細胞毒性を示した。 一方、黄色の未同定海綿からは、3つの既知セスキテルペンの他に3つの新規ジテルペンを単離した。 以上の化合物のin vivoでのアッセイは、立体構造の検討が済みしだい行なう予定である。
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