研究計画に従い、自己組織体を形成するための単位素子の候補として(1)、(2)および(3)の化合物を設計した。化合物(1)〜(3)の真空中でのコンホ-メーションを分子動力学(分子設計支援プログラムSYBYL6.0を用いた)によりシミュレーションするといずれも自己組織化に必要なゴ-シュ型の水酸基およびアンチ型に配向したイミノ部位を持つコンホ-マ-が低エネルギーのコンホ-マ-として得られた。さらに各化合物について二本のN・・・HO分子間水素結合(185pm)を想定し得られた初期座標を力場計算(SYBYL6.0のMAXMIN2を用いた)にかけ構造最適化を行った。その結果、(3)についてはN-メチル基に基づく分子間の立体障害により二量体の形成には至らなかった。一方、(1)および(2)に関しては二量体の形成に収束し、また分子間水素結合に関与しない一組の水酸基およびイミノ基は共に三量体、さらには四量体の形成を可能にする配向をもつことが確認された。以上の計算結果から、(1)および(2)は目的とする自己組織体の有力な単位素子と考えることが出来る。(1)および(2)を調整するために以下の合成経路を考案した。現在、この経路に従い目的物質の合成を試みている。
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