1.SV40のミニ染色体を用いた無細胞修復系の分画、再構成 哺乳類細胞のDNA修復機構を解析するために、紫外線照射したSV40ミニ染色体を鋳型とする無細胞修復系を用い、細胞抽出液の分画、再構成を試みた。その結果、ホスホセルロースカラムにより分画した3つの画分の全てが修復反応に必要であり、全てにDNA修復因子が含まれていることがわかった。さらに、これらの画分について、ヒトの修復欠損株である色素性乾皮症(XP)細胞抽出液の欠損を相補する活性を検出した。 2.クロマチンDNAの修復に必要な因子の同定 無細胞修復系の分画、再構成の過程で、XP細胞抽出液の欠損を相補する活性を検出することができたので、まず、これらの因子を同定することを試みた。その結果、XP-C群について、その欠損を相補する因子をほぼ完全に精製することに成功した。XP-C群の欠損を相補する因子(XPCC)は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動上、125KDaと58KDaの2つのポリペプチドの複合体であることを明らかにした。 DNA修復系におけるユビキチン系の関与 当研究室で得られたマウスFM3A細胞のユビキチン活性化酵素に変異をもつ温度感受性変異株を用いて修復におけるユビキチン系の関与について調べるために、まず、親株であるFM3A細胞抽出液を調製して反応を行わせた。その結果、ヒトの細胞抽出液ばかりでなくマウスの細胞抽出液の反応も検出できることがわかった。
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