1.変異原性増強作用物質の単離:活性物質の存在が認められた柴胡熱水抽出エキスのエーテル抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりn-ヘキサン、ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、エタノール次いでメタノールの順に溶媒極性を利用して分画を行ない、Ames法の変法であるMicrosuspension法により、Salmonella typhimurium TA 98を用いて、Trp-P-1に対する変異原性増強作用を検討した。強い増強作用物質の存在が示唆されたクロロホルム分画についてクロロホルム、メタノールの混液を用いてカラムクロマトグラフィーを行い4分画を得、増強作用を示した分画について薄層クロマトグラフィー(TLC)分析を行なった。これより254nm照射時に蛍光を発する分画に強い増強作用物質の存在することを明らかにした。この分画を薄層板より抽出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて精製条件の検討を行い17ピークを分取により得た。各ピークについて増強作用試験を行い強い増強作用を示す精製度の高い4ピークを分取した。 2.変異原性増強作用物質の同定:分取された4ピークについてMS、GC-MS、NMR等の機器分析により構造決定を行なう予定であったが分取量の不足のため機器分析を行なうことが本年度内に出来なかった。現在、より大量のピーク物質を分取中であり、分取終了同定を行なう予定である。 3.柴胡熱水抽出エキス中の活性物質の定量:増強作用物質が単離同定出来なかったため定量に至らなかった。 4.遺伝学的毒性の検討:柴胡熱水抽出エキスについてショウジョウバエを用いた翅羽スポットテストにより体細胞突然変異の検討を行なったところ変異原性増強作用を認めた。今後単離同定された増強作用物質についてさらなる検討を行なう予定である。
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