研究概要 |
1.腎機能と薬物動態の関係に基づいた血中濃度の推定法の検討 血中濃度が定常状態に達し、服薬が正確に行われていると考えられた患者から得られた66検体の血中濃度について検討した。患者の血中濃度の推定値は、腎機能(クレアチニンクリアランス:CLcr)と薬物動態(beta-methyldigoxinの総クリアランス:CL)の関係式(CL/F=0.065×CLcr+1.689)を用いて算出した。この方法による血中濃度の予測性は良好であり(mean prediction error:-0.001ng/ml,mean absolute prediction error:0.182ng/ml,root mean squared error:0.051ng/ml)、今後、beta-methyldigoxinの血中濃度モニタリングに応用可能であることが示唆された。 2.beta-Methyldigoxinの吸収に及ぼす摂食の影響についての検討 beta-methyldigoxin服用中の外来患者を対象に、食前投与あるいは食後投与を1ヶ月間継続して行い、血中glycoside濃度を比較した。患者16名のうち2名については、服薬が正確に行われていなかったために本試験より除いた。食前投与した場合に比し、食後服薬した場合の血中濃度は低下する傾向を認めた(p=0.08)。患者の中には、食後服用時の血中濃度が食前投与の63%に低下した者もいた。 3.beta-Methyldigoxinとspironolactoneの薬物相互作用についての検討 健常成人6名を対象に、beta-methyldigoxinの単独投与時とspironolactone併用時の薬物動態についての比較を行なうために、試験計画に基づき、採血及び蓄尿を行った。現在、血中及び尿中濃度をHPLC-FPIA法により測定中である。また、患者についても、現在までに3名からの採血及び蓄尿を終了している。
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