研究概要 |
1.胸膜炎におけるサイトカインレベルの測定 ラット・カラゲニン胸膜炎モデルにおける胸腔滲出液中のサイトカインレベルは3時間後にTNF,IL-1が、4時間後にラットIL-8(CINC)が、5時間後にIL-6がそれぞれピークをとった。滲出液量と浸潤白血球数はこれ以後も増加を続けた。この炎症モデルに対する抗炎症薬インドメタシンとデキサメタゾンの影響を調べたところ3時間後の胸腔滲出液量と浸潤白血球数はそれぞれ有意に抑制された。インドメタシンは滲出液中のTNF,IL-1レベルを増加させ、IL-6レベルのみを抑制した。デキサメタゾンはすべてのサイトカインレベルを抑制した。このことから炎症局所でのプロスタグランジンE_2によるサイトカイン産生の調節が示唆された。 2.サイトカインの胸腔内投与による白血球遊走作用の検討 直接的な遊走因子といわれるIL-8,CINCを胸腔内に投与すると比較的早期の強い反応を起こしたがTNF,IL-1による反応は遅く弱かった。デキサメタゾンとアクチノマイシンDはTNFとIL-1による好中球遊走を阻害したがCINCによる遊走は阻害しなかった。したがってTNF,IL-1の作用はCINCの合成を介して起きると考えられる。 3.TNF,IL-1の胸腔内投与によるIL-8(CINC)の誘導 TNF,IL-1投与により胸腔内CINCレベルは好中球浸潤に先だって一過性に上昇した。このCINC産生はアクチノマイシンDの投与により著明に抑制された。一方IL-8投与の場合にはほとんどCINCの誘導は見られなかった。したがって2.で述べた結論がさらに裏付けられた。
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