コレステロール(以下chol)の体外排泄経路は肝を介して胆汁中から便へ、cholとしてまた胆汁酸へ代謝されてなされる。しかし生体内に広く存在するコレステロールサルフェート(以下CS)は硫酸抱合により著しく極性が増し、尿中へ排泄される可能性が考えられる。そこで尿中CSの測定法を確立し、cholの便中への排泄が障害される肝胆道疾患について正常人と比較測定した。測定方法:一日蓄尿の一部(正常人では200〜500ml、肝胆道疾患者では20〜50ml)に内部標準としてDihydrocholetserol-sulfate を適量加えた後Triethylamine sulfate(pH7.2)と同量混和した。その後ODS-silica(Preparative C_<18>)column 800mgにて抽出した。水、60%メタノール(10ml)で他の極性の高いcompoundsより分離精製した後chroloform/MeOH1:1溶液(6ml)で抽出した。この分画よりcholesterol glucronideを分離するため、silica sheetの薄層クロマト(以下TLC)でCSを特異的に抽出した。得られたCSはソルボリ-シス後TMS誘導体化し、ガスクロマトで定量した。成績:1.正常人における尿CS排泄量(n=6);尿中濃度は6.02〜19.21mug/dlで、一日排泄量は、43.40〜182.52mug/dayであった。2.肝硬変症および閉塞性黄疸患者における尿中CS排泄量(n=6);尿中濃度は10.31〜389.26mug/dlで、一日排泄量は154.65〜3296.29mug/dayであった。さらに血中CS濃度も後者において348.9±51.5mug/dlで先に我々の報告した正常人の血中濃度230.8±17.1mug/dlより高値であった。以上のことより肝胆道患者において尿中および血中CS濃度が増加していたことは、cholの体外への排泄経路としてcholが硫酸抱合(またはグルクロン酸抱合)を受け尿中へ排泄される経路が存在する可能性を示すものである。現在症例数を増やすと共に肝胆道疾患患者の尿中cholesterol glucronideについてもTLCおよびイアトロスキャンにて定量を試みている。
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