研究概要 |
本研究は、外来病棟の現状における限られた時間の中で、高齢手術患者に術前指導に効果的に行うため、視聴覚教材(VTR)を開発することを目的とした。 内容は、術後合併症予防を目的とした術前練習項目として、(1)深呼吸(2)咳嗽(3)含嗽(4)ネブライザー(5)器具を用いた努力呼吸法(6)床上での下肢の運動(7)離床方法(8)床上での動き方(9)装着物がある時の動き方、の9項目とした。 VTR試作の段階では、それぞれのポイントが分かりやすいようにイラストや模式図を工夫した。特に、術後に初めて体験することに関しては、手術を体験した高齢患者にインタビューを行い、その時に表現された言葉を活用し、感覚的に受け入れられやすいように配慮した。また,実際の指導場面を撮影し、VTRを見ながら自主的な練習行動が取れるように、デモンストレーション、説明等との間隔を検討した。 試作VTRはデモンストレーションを繰り返し見ることができるため従来の指導内容を補強するための教材としては有効であった。しかし活用方法についてはいくつかの懸案事項が明らかとなった。それは高齢者がVTR機器の取り扱いに不慣れなこと、VTRからの働きかけに対する反応・行動速度に個人差が大きいこと自主的な練習を行うには内容が不十分なことである。この点を考慮し、現在修正版の作成を行っている。また、病棟での活用のためにはVTR使用時の指導マニュアルが必要であり、この内容についても検討中である。 今後「修正版VTR」と「指導マニュアル」を用いて術前指導を行い術前・術後の高齢患者の行動評価と術後合併症の発生状況から有効性を検討し、臨床で使える視聴覚教材として開発していく予定である。
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