1.乾燥コンブでの膨化と内部の水の動き:パルスNMRのセンサーの位置から、試料20mg、蒸留水300mu1を添加した場合が測定に適していることが示され、この条件で測定した緩和時間を水和能力とした(従って、緩和時間が短いほど水和能力が高い)。凍結乾燥したコンブ粉末の水和能力は調製時に生じた粒度の不均一性にはほとんど影響を受けないことから、この方法は簡易で実用的な方法であることが示された。 2.アルギン酸カルシウムゲルと水和能力:アルギン酸ナトリウムに塩化カルシウム溶液を添加してゲルを調製すると、硬さの不均一なゲルができやすいため、レオメータでの測定は不適であると考えられた。そこで、ゲルの進行程度を判断するのに、試料の入ったNMRの試験官を横に静置させた場合の試料溶液の移動距離を指標とした。この方法でゲル化の進行を判定し、ゲル化と水和能力との対応を検討した結果、以下に示すことが見い出された。 (1)塩化カルシウム溶液のみの緩和時間(2100-2400ms)はカルシウム濃度(0-1 M)に依存しない。 (2)ゲルを形成すると緩和時間が短くなる。 (3)ゲルを形成すると緩和曲線が多相系を示すものが多いが、ゲルの調製が可能な最低濃度のカルシウム溶液を用いた場合にはカルシウムの添加前後で単相系から変化することがなく、緩和時間のみが短くなった。 以上のことから、アルギン酸カルシウムのゲル化と、緩和曲線からみたゲルの均質性(交換性をもったプロトンをもつ点で)をこの方法でカプセルの外部から追跡が可能であることが示された。
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