不規則な摂食が生体に及ぼす影響について、エネルギー代謝や脂肪の蓄積を中心として検討を行った。不規則な摂食という場合、量、質、時間などの因子が考えられるが、今回は量を不規則にした場合についての実験を行った。成長期のラットを、不規則性の最も厳しいと考えられる絶食-自由摂食の群(I群)、これと同カロリーをコンスタントに摂食する群(R群)を設定し、実験開始後1週間連続の呼気分析によるエネルギー代謝測定を行なった。さらに1カ月飼育中の体重変化および1カ月後、小動物体成分測定装置(EM-SCAN社SA-2)を用いて体脂肪を測定した。I群は不規則摂取開始後総消費エネルギー量およびBMR値を摂食量の変化に対応し増加減少させたが、摂取エネルギーにみあったものではなく、脂肪蓄積の可能性を示していた。代謝行動値は、期間中二つの群に有意差がみられるものはなかった。また1カ月後の最終体重および不規則摂食により増加が認められると考えられた体脂肪について、ややI群のほうが高い値となったものの、二つの群に有意差は認められなかった。また実際の体成分分析の結果についても同様の結果となった。不規則食群は絶食-自由食という厳しいものであり、制限食の側面も加味されることから、このような結果となったのではないかと考えられた。そこで絶食を1日施しその後自由食を施した場合の脂肪蓄積についても検討した。絶食後、自由食への回復2〜3日は摂食量が増加し、体重増加率は大きくなったが、終始自由摂食群との間に有意差は見られなかった。同カロリーにしたコントロール群の設定が困難であること、さらに経時的に体成分分析や脂肪酸合成能の測定がうまくできなかったことなどから単純に比較出来ないため、さらに、カロリー制限のない状況での検討が必要であると考えられる。
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