研究概要 |
本研究は老化に伴う骨格筋を中心とする運動器系の退化に対して、瞬発性の運動がいかなる影響を及ぼすかを検討することを目的とした。 実験動物として成熟期、老齢初期、老齢期と考えられる6,20,24ヶ月齢ラットを対照群として用いた。また、瞬発性運動の影響を観察するため予め8週間のジャンプ運動を行った運動等を設け対照群と比較した。 老化に伴う形態的変化として筋重量を測定した結果、成熟期以降、筋は萎縮傾向を示した。しかしながら、瞬発性運動を負荷することによってその萎縮傾向が有意ではないが迎えられた。生理学的特性としての強縮張力は筋の萎縮に応じ老化に伴い低下を示した。瞬発性の運動を行うことによって強縮張力の低下は迎えられたが、老齢初期に比べて老齢期では運動の効果は少なかった。組織化学的特性である筋線維組成は、老化に伴い速筋線維の占有率が低くなった。瞬発性運動を負荷した場合、成熟期においては速筋線維の占有率が高くなり、運動様式に適応した変化が観察されたが、老齢初期、老齢期においては運動を行った場合でも筋線維組成に違いは観察されなかった。筋線維本数は老化に伴い特に速筋線維の本数が減少する傾向にあった。 以上の結果から、老齢期であっても比較的早期であれば瞬発性の運動効果が期待できることが示された。昨年度の当科学研究費の補助を受けて行った老齢期で持久性運動を行った結果と比較した場合、老齢期において持久性運動の効果が比較的得られ易いと考えられるが、本年度の研究結果の分析がすべて終了してはいないため今後更に検討を加えていきたいと考えている。
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