スポーツに関する紛争は、国際的、国内的にも 興味深いものが目を引くようになった。そのかなでも訴訟爆発の社会にあるといわれるアメリカ合衆国は、その数量的意味でも訴訟額という意味でも注目に値する。これには、アメリカ法の土壌・制度あるいはアメリカ人のメンタリティがおおいに影響しているのであろうが、そこで引き起こされる訴訟の内容も多様なものとなってきた。このような現象は、スポーツの領域でも同様である。ユ-バースチン(1988)によるとスポーツ関連の訴訟は10年前の少なくとも2倍になってきており、とりわけ訴訟額をみても、ヘルメット会社の製造物責任を認めた事例のように、1000万ドルを超えるケースが目を引くようになった。 訴訟の内容をイェイザーは、スポーツ法-判例と資料(1985)において分類をしている。そのうち、アマチュアスポーツについては、アマチュアリズム、アマチュアスポーツ組織とステイト・アクション(STATE ACTION)、競技に参加する権利の本質、アマチュア競技での性差別、アマチュアスポーツ組織とアンチトラスト法、参加者の刑事責任や他者への不法行為があげられている。また、スポーツ判例雑誌から近年の具体的事例をみると、スポーツ事故関連が最も多く、人種差別、性差別、参加資格(処分)、移籍(転校)、ドラッグテスト、障害者差別、大学対抗競技、労働基準、エイズ、政府免責、情報公開、弁護士料、税金などさまざまな事例が取り上げられている。もっとも、ことの重要性は、訴訟の件数および取り上げられた記事の数だけでは推し量れない、という点は留意すべきである。しかしながら、これらの分類された項目は、今後、我が国でも検討すべき事柄を多く含んでいる。
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