備品として申請したハードディスクが消耗品として納入されたほか、補助金は計画通りに執行した。 まず、研究の過程で、Bizziらの実験の解釈に疑問を持ち、その疑問点について、日本体育学会(大阪)で発表した。その内容は、外乱に対する動作の復帰現象は、動作の初めから終わりまでの全運動プログラムが動作に先立って立案されていると考える以外に、筋やけんなどのハードウェア的特性から説明づけられる可能性はないか、というものであった。 次に、if-then形式で表わしたルールを利用して運動を学習するとき、簡単なタスクが自由度の低い学習者に与えられた場合はうまくいっても、タスクの複雑さ、あるいは学習者の自由度が増すにつれ、膨大な量のルールが必要となることがわかって、研究は一時、壁にぶつかった。 しかし、ルールが、硬直したものではなく、ある程度の幅を持ってゆらいでいる場合、あるいは、条件判断が紋切り型ではなくぼやけている場合(いわゆるファジ-)には、少数のルールでも比較的広範囲の運動の学習に役立てることができる可能性を見つけて、研究は前進した。 さらに、このようなゆらぎをもった、ぼやけたルールを用いると、ホップフィールド型のニューラルネット計算がローカルミニマムをだ脱出できること、および、そのゆらぎによって、運動者のパフォーマンスのゆらぎとパフォーマンスの個人差を説明できるというアイデアを得、日本バイオメカニクス学会でそのトピックについて発表する。
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