研究概要 |
継続的な運動がマウスの生体防御機構、特に免疫機能にどのように影響を及ぼすのか検討した。生後4週齢のICR系雄性マウスを用い、強制走運動群(運動群,N=19)と安静群(対照群,N=21)との2群に区分した。運動負荷は、毎分15mの速度で1日1時間、週5日、12週間にわたって強制走運動を実施した。結果の概要は以下のようであった。 1.強制走運動のマウス網内系貪食能に及ぼす影響 (1)網内系貪食能について…カーボンクリアランスの血中カーボン半減時間は、対照群が約15分であったのに比し、運動群は約8分であり有意(p<0.01)なカーボンクリアランスの亢進がみられた。さらに貪食指数および訂正貪食指数も運動群が明かに有意(p<0.01)に高値を示した。 2.強制走運動のマウス腹腔マクロファージ(Mphi)および脾細胞の種々の免疫学的機能に及ぼす影響 (1)腹腔Mphiのラテックス粒子貪食について…各群の50個のMphiが貪食したラテックス粒子数の平均値は、対照群が3.0個に対して運動群は5.9個と有意(p<0.01)に高い値を示し、Mphiの貪食機能の亢進がみられた。 (2)腹腔Mphiの酸性ホスファターゼ(APH)活性および乳酸脱水素酵素(LDH)活性について…ライソゾーム酵素のAPH活性は、両群同様な値を示し有意差は認められなかった。しかし、細胞群酵素のLDH活性は、運動群が有意(p<0.01)に高値を示し、Mphiの活性化がみられた。 (3)脾細胞のConcanavalin A(Con A)に対する増殖反応性について…Con A刺激に対する脾細胞の増殖能は、対照群に比し運動群が有意(p<0.01)に高値を示した。 以上のように、長期継続運動はマウスの免疫機能を増強し、生体防御機能の促進に有用であることが示唆された。
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