1.日常的に身体活動を実施している高齢者(活動群)と在宅の一般高齢者(一般群)を対象に、アクトコーダ(改良型万歩計)による活動水準調査と簡便法による食事内容調査、および下肢筋力測定を行った。 その結果、活動群の方が一般群より日常身体活動水準が高く、エネルギー摂取量(概算)も高くなる傾向が観察された。また、膝関節伸展時の最大筋力には顕著な差はみられなかったが、最大筋力の1/2および1/4の筋出力の再現性は活動群が優れる傾向にあった。 2.老人ホームに居住する比較的脆弱な高齢者を対象に、リズム体操および軽スポーツ種目を開発し、生体にかかる負担度について運動生理学測定と映像解析による分析を行った。 その結果、酸素摂取量や心拍数、血圧の応答から、高齢者が苦痛を覚えずに行えるリズム体操の強度は安静時の3〜4倍程度であろうと推察された。また、屋内で行える軽スポーツ種目(例えば、シャッフルボードなど)の実施によって体重の1倍〜2倍程度の力を下肢にかけることが可能であることが実証された。 以上の結果から、一般在宅および施設居住の高齢者の日常身体活動水準は低レベルにとどまりがちな状況にあり、このうな廃用性の機能低下を抑制するためには高齢者の好むスポーツ・レクリエーション種目を開発することが急務であることが示唆された。
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