レッグパワー(竹井機器工業社製)を用い、4種類の脚伸展速度(0.6m/秒、0.8m/秒、1.0m/秒、および1.2m/秒)での脚伸展パワーを測定し、得られた速度と脚伸展パワーより、速度-脚伸展パワー曲線を求め、脚伸展パワーのピーク値、およびピーク値発揮の際の速度を算出し、ピーク値、およびピーク値発揮の際の速度の加齢にともなう低下を検討した。被検者は、健常男性21名(すべて本学専任教員:年齢55歳以上、157cm〜174cm、53kg〜78kg)、測定の主旨を説明し、測定に慣れさせた後、15秒程度の休息をはさみながら、少なくとも4〜5回本試行を繰り返させ、その最大値をその速度での脚伸展パワーとした。脚伸展パワーのピーク値は630.0±112.0watt、体重当たりでは9.7±2.0watt/kg、また、ピーク値発揮の際の速度は0.95±0.03/秒であった。年齢毎の被検者数が少ないので、年齢間の比較はできないが、1つの集団としてみた場合、脚伸展パワーのピーク値は男子12歳程度、体重当たりの脚伸展パワーのピーク値は男子7歳〜10歳程度、また、ピーク値発揮の際の速度は男子17歳以上程度であった。 各速度でのパワー値がほとんど等しくある例も多々みられ、低速の脚伸展速度(0.2m/秒、0.4m/秒)での測定を行えば、特にピーク値発揮の際の速度に関し、さらに正確な情報が得られたと思われるが、低速の脚伸展速度では、腰に対する負担が大きくなることから、今回は測定しなかった。本方法では、被検者の日常の身体活動量、および活動様式を考慮した脚伸展速度の設定、あるいは、力曲線・速度曲線の立ち上がりの検討が必要であると思われた。また、他の測定方法(垂直跳・全力階段駆け登り法・自転車エルゴメーター駆動等)における脚伸展パワーとの相互比較も含め、中・高齢者の脚伸展パワー測定に適した方法を考案する必要があると思われた。
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