心拍数(HR)モニターおよび歩数計を用いた「精神薄弱児・者の日常生活およびスポーツ活動時の身体活動量」についての研究により、以下の事柄が明らかになった。 1.精神薄弱児・者の身体活動量 (1) 室内での仕事(自動車部品組み立て、バリとり等の軽作業)中心の精神薄弱女性の身体活動量は同年令の健常者と比較して差が見られなかった。むしろ、作業が常時立位姿勢で行われていることや、余暇時間を利用したスポーツやレクリエーション活動の実施により、健常者よりも身体活動量は大きい傾向にある。 (2) 屋外での農作業中心の精神薄弱男性の身体活動量は、作業内容が機械等の導入による省力化も最小限度であり、心拍数・歩数とも同年令の一般的な健常成人男性と比較して大きい傾向にあった。 (3) 一方休日においては、男女とも身の回りの清掃・洗濯といった軽作業後は、大部分の人がテレビ・音楽や歌を視聴する、テレビゲーム、絵を描く、刺繍をするというように屋内で静かに過ごす傾向がみられた。屋外でスポーツを楽しむといった過ごし方は、一部の若い男性にみられただけであった。 2.精神薄弱児の身体活動量 (1) 軽度精神薄弱児では、学校教育場面と休日の身体活動量で差がみられなかった。 (2) 体育や朝会時のスポーツ活動により、身体活動量は著しく増加する傾向がみられた。
|