第1に、都市人口データをもとに、タンザニアの都市システム、人口階層別の都市の空間的分布の現状を把握した。これに加えて、日本で入手可能な1971〜1978年の間のタンザニアの全国雇用統計を分析した。とくに、中規模都市をも含む全国各都市を、クラス-タ分析を中心とした多変量解析を用いて賃金雇用面から性格分類し、各都市経済の現状を把握した。そして、以上の都市システム分析と都市雇用分析を連結して、タンザニアにおける都市規模別の経済的機能の分化・特化を検討し、さらにこうした都市経済機能が周辺農村部に対して、とくに雇用機会創出と産業連関・流通の点で、どのような役割を果たしているのかを推定した。第2に、ケニアの中央州北部に位置するニエリ県において、中小都市での農外小規模生産活動によって資本蓄積した階層のかなりの割合が近年、半乾燥地域に新たに農地を取得しつつあることに着目して、この新規入値に伴う農地の展開と環境改変の現状を把握した。このために、この地域のリモートセンシング・データ(1986年のLandsatデータ)を入手し、これをまず可視波長領域の合成カラー画像として出力、印刷し、現状を概観した。続いて、適当な波長帯を変数として選択し、これに対して判別分析、クラスター分析などの多変量解析を行ない、対象地域における土地利用の空間パターンおよび面積を、計量的に評価した。これによって、今後この地域における土地利用変化と環境改変を検出する際に比較対照することが可能な基準図を得た。第3に、主としてタンザニアの農村社会と雇用に関する文献を収集し、検討した。これを通して、今後タンザニアで計画している中小都市と農村社会変動の関連に関する研究に関連して、背景知識を得た。
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