国勢調査の国勢調査区集計結果を用いて、住宅の構造別・所有関係別にみた人口増減と人口高齢化との関係を分析した.分析対象地域は、大阪府吹田市と豊中市にまたがる千里二ュ-タウンである。 分析の結果、千里ニュータウンでは、住宅の構造(低層・中層・高層など)による人口増減や人口高齢化の進展に差は相対的に小さいが、所有関係別にみた場合は人口増滅や人口高齢化の進展に著しい差異のあることが確認された。 人口高齢化の進展には、非高齢人□の地区外転出が大きく作用しているが、とりわけ結婚適齢期に相当する20歳代半ば〜30才代前半の転出が著しく、これが非高齢人口の滅少と比率の低下を招き、同時に高齢人口の比率増大に寄与している.なかでも、公営・公団の賃貸住宅では、2世代居住が実質的に不可能なため、結婚適齢期層の転出が顕著である。しかし、これらの住宅では、転出によって生じた空家に新たな非高齢者が入居する。したがって、公団・公営の賃貸住宅における人□高齢化の進展では、残存した壮年層が高齢人口に組み込まれていくことの作用を見逃せない. 一方、持家としての戸建住宅や公団の共同住宅では、当初からの居住者の年齢が公団や公営の賃貸住宅よりも高かったため、人口高齢化がより早期に生じている.加えて、賃貸住宅ほど居住者の入れ替わりが多くないため、残存した壮年層が次々と高齢人□に組み込まれており、人口高齢化が急激に進展している。戸建住宅と公団の共同住宅を比較すれば、同じ持家であっても、前者の人口高齢化が顕著である。戸建住宅における高齢人口比率は、1990年時点で20%前後にまで及んでいる。 以上の点を踏まえると、バランスの良い年齢構成が実現できる政策が不可欠である。賃貸住宅にあっては、親子近接居住を実現させるために、地区内居住者が世帯分離する際の優先入居などの方策を取る必要があろうし、持家の共同住宅(多くは中層)で建替えの際に高層化を前提とした容積率の緩和も必要であろう.また戸建住宅についても、快適な2世代・3世代居住を実現すべく、建替えの際に必要最低限の建ぺい率・容積率の緩和が要請される。
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