本年度の研究では、まず、これまでに開発したドリル・シェルの効果を実証的に検討し、マルチメディア型ドリル・シェルの設計方針を策定しようと試みた。この結果は、教育工学会第9回大会で発表した。大学生に評価させた結果では、ドリル・シェルを包含するCAI教材は、そうでない教材に比べて、全体的な評価の優位性は見られない一方で、「練習とフィードバック」に工夫しているという特定部分での高い評価が得られた。 次に、大学における情報教育の方法改善に取り組むグループ研究の一環として、ドリルを含むマルチメディア型CAI教材の改良を試みた。これは、本研究者が指導して卒業課題として作成したドイツ語の基礎単語習得のためのドリル教材(音声素材、制止画素材を含むもの)を手直しし、その過程を振り返ることにより自作教材の自己点検チェックリストを提案したものである。この成果は、第7回私立大学情報教育協会大会で発表し、情報教育方法研究会より優秀賞を授与された。また、機関誌にもその続報が掲載された。 研究は現在、マルチメディア情報を含むドイツ語単語ドリルに用いられているドリルメカニズムを汎用化し、大学生レベルでコンピュータ入門期にある者が新たなジャンルでドリルを自作するための道具(ドリル・シェル)に改造し、その使いやすさを異なる領域のドリルを自作させる中で実証的に検討する作業に移行している。さらに、動画情報を含むドリル(研究計画ではズ-ムインやパニングなどのビデオ撮影用語の習得のためのドリル)についてのシェルを開発・評価することが今後の課題として残されており、この成果は、秋の学会で発表できるように努力したいと考えている。
|