本年度の研究では、まず欧米で指摘されている学習方略の幾つかが、実は日本人英語学習者の英語能力向上には役立たないか、あるいはかえって妨げになることを実証的に指摘した(論文投稿中)。そこで、この成果を受け、日本人のGood Language Learnersらへの各種調査(Interview、Diary、Questionnaire)を行い、日本人の英語能力向上に役立つと考えられる学習方略の特定化を進め、これを診断用リストとしてまとめた。このリストを使い、75名の被験者を対象として診断法としての妥当性、信頼性があるかを調べるPilot Studyを行った。この結果、リストの一部に妥当性、信頼性の両面に関して問題があることが判った。そこで、リスト項目の再検討(項目の追加、入れ替え、言葉使いの変更)を行いリスト第2版を作成した。その後、この第2版リストを使い、70名の被験者を対象として再度検証を行った結果、妥当性、信頼性を高めることが出来た。そこで、来年度初頭に、約250名の被験者を対象として、最終的な妥当性、信頼性検証を行い、リストを確定することにした。また、前述の研究と並行して、リスト(第1版)をコンピュータベース(映像、音声、文字による解説付き)化し、学習者の空き時間に、自分の学習方略使用状況の確認ができ、さらにその診断に基づき学習のアドバイスを受けられるCAIシステムのプロトタイプを構築した(成果の一部は学会にて発表)。そこで、来年度初頭には、確定した第2版リストをコンピュータに移植し、その動作、有効性を確認し、勤務校学生の試用に供する予定にしている。なお、以上の研究成果は、来年度を中心に発表される予定である。
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