超並列計算機のためのネットワークトポロジ独立なメッセージの通信方式を設計し、シミュレータを試作していくつかのサンプルプログラムについて実験を行った。以下に、具体的な通信方式と実験結果について報告する。 1.通信方式 ネットワークトポロジについては静的に可変な直接網を対象とし、ハイパーキュープ、2D、3Dメッシュ、トーラス、トリ-などについて経路選択可能なものを設計した。このため、メッセージの宛先はシリアルなノード番号で表し、各ノードのル-タに持たせた宛先ノード番号に対する出力ポート番号のテーブル参照によって経路選択を行う。また、ネットワーク資源を有効利用できるよう適応型ルーティングをサポートし、衝突が発生した場合には最短経路の中から異なる経路を選択することができる。出力ポートがすべて使用可能でない場合、デッドロックを防ぐため、適当なパケットをル-タ内のバッファに退避してポートを開放するバーチャルカットスルー方式を実装した。 2.実験結果 LAN上の複数のUNIXワークステーションを用いてシミュレーション実験を行える環境を整備し、いくつかの具体的なサンプルプログラムの通信パターンについて実験を行った。なお、本シシュレータはノード内の処理もシシュレートしているため、時間的に正確な通信パターンをシシュレートすることができる。今回の実験では、ノード内部の処理能力として研究室で設計中のA-NET計算機の性能を仮定した。実験の結果、MIMD的に動作する問題については0.3msec程度の通信遅延時間で線形的な並列処理による速度向上を達成できることが分かった。また、SIMD的な問題では0.1msec以下の通信遅延を実現しないと良好な速度向上が期待できないことが分かった。
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