1.現在のインターネットの規模、増加率、経路情報量、アドレス使用率、特に日本および環太平洋地区における状況を調査し、大規模性に関する問題点を明らかにした。調査したデータは大規模性による問題点に対する解決方法の評価を行なう際の基本的なデータとなる。また、今後の技術開発のスケジュールに対する要求を明確にする。 2.大規模化に伴って引き起こされたアドレス空間の枯渇問題に対し、アドレス割当て方式の点から問題点を整理し、提案されている各方式を比較検討し、必要な改善策を検討した。具体的には、分割されている各クラスの境界を無くすCIDR方式とそれ以外の方式を検討し、IPアドレスに階層構造を持ち込んだ場合の利点と欠点を明らかにした。 3.経路制御の点から、大規模性による問題点とその解決方法を探った。新しいアドレス割当て方式に移行した際の経路制御プロトコルの変更および大規模性に伴う経路生後テーブル肥大化問題の解消がどの程度行なえるかを検討した。 4.以上の検討を基に、調査データを利用して定量的に評価を行ない、新しいアドレス割当て方式が、一時的であれ、ネットワークの大規模化に伴うアドレス不足問題を解消することを示した。 5.インターネットの調査は、研究代表者がかかわる日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が管理するデータベースから、あるいはアメリカ合衆国のInterNICのデータベースから収集することで実行し、本研究では、主に日本国内とアジアを含む環太平洋地域を対象にした。
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