研究概要 |
多値論理回路を実現するためのハードウエアとして、TゲートやCPゲート等の単一モジュールを用いて構成するものや、多値PLAに代表されるMAX、MIN、Literal論理式あるいはTSUM、MIN、Literal論理式を用いるものなど多くの種類が存在する。現在まではこれら全ての回路構成個々に対して専用の簡単化CADが必要であった。本研究は、これら全ての回路の簡単化に使用できる不変的な多値論理回路簡単化CADをニューラルネットワーク技術を用いて構築する。これによって、1つの簡単化アルゴリズムで全ての回路の簡単化が可能になり、回路簡単化CADの開発の単純化、容易化が図れる。更に、多値論理回路設計が非常に容易になり、多値ハードウエアを使用したシステムの実現が可能となる。このようなCADを開発することを考えるとき、多値論理回路を実際に構築する個々の回路構成の基礎素子の性質を解析しなければならない。IIL或いはCCDデバイスで簡単に実現できるTSUM、MIN、素子は様々な回路を構成する上で重要な意味をもつ。 そこで本研究ではまず、TSUM、MIN、NOTのみからなる多値論理集合を考え、この集合について解析を行った。その結果、TSUM、MIN、NOTからなる論理集合は、完全ではなく定数付き完全であることが明らかになった。またこの集合がMAX、MIN、NOTの集合を包含すること、及び、その数のspeculationを明らかにした。この成果を電子情報通信学会論文としてまとめ、その掲載は決定している。この結果を踏まえて、多値論理設計簡単化CADをニューラルネットのBPアルゴリズムで構築し、現有のワークステイション(IRIS,DECstation)上で使用可能なCADとして現在良好に動作している。
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