本研究の目的は、個体集団分割に基づく非同期並列遺伝的アルゴリズムの並列最適化計算モデルとしての基本的な性能をシミュレーション実験により同定し、さらに、並列遺伝的アルゴリズムを従来の対話型ユーザインターフェイスの駆動機構の一部に取り込んだ知的ユーザインターフェイス機能を実現することである。 1.非同期並列遺伝的アルゴリズムPGAの高速シミュレータの開発 遺伝的アルゴリズムの性能はスキーマの処理高率で特徴付けられる。そこで、分割された各集団でのスキーマの処理状況を示す統計的情報(適合度分布の平均と分散)に基づいて個体の相互交換を高率的に起動し、無駄なプロセッサ(部分集団)間通信を排除した手法を考案し、本手法の効果を実験的に検証するために、ワークステーション上に汎用PGAシミュレータをインプリメントした。 2.シミュレーション結果の解析と問題点の同定 上記シミュレータを用いて、種々のテスト関数を組合せ最適化問題に対する集団分割型並列遺伝的アルゴリズムの適応可能性を解析した。その結果、遺伝的アルゴリズムに対して極めて簡単な問題や逆に騙し関数の様に本質的に困難な問題では従来手法との有意な差は生じないが、都市数40を越えるTSPなど解空間が極めて大きな組合せ最適化問題等では大幅な探索時間の短縮とプロセッサの台数効果が達成された。 3.協調的幾何図形生成編集システムの実現 並列遺伝的アルゴリズムの有する高速な探索能力に基づく学習・推論機能を持った協調的ユーザインターフェイスは現在インプリメント中である。
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