研究概要 |
プログラミング中のキ-タイプ過程を記録することができるエディタを開発し,それを用いて,大学生100名以上を対象に,そのプログラミング行動のデータを採取した。データは,各キ-タイプについて,1/100秒単位でタイムスタンプが押された形をしている。 得られた実験データに基づいて,被験者の「時系列キ-タイプ過程」を詳細に分析した。特に,学習が進むにつれて,その過程が動のように変化してゆくのかに着目した検討を行った。具体的には,学習に伴う「キ-タイプの速度の変化」,「テキスト修正行動の変化」,「クラスター(一まとまりの行動)の構成状況の変化」に関する分析を行った。 その結果,まずは,行動レベルにおけるキ-タイプ速度の向上が観察された。 加えて,学習が進むにつれて,テキスト修正に関して,より合理的な行動が獲得されてゆく様子や,クラスターの構成状況に関して,より意味のある行動のまとまりが構成されてゆくことが観察された。これらは,行動レベルに加えて,認知レベルにおいても学習の効果が現われていることを,具体的に示すものである。 以上に基づいて,初心者のプログラミング過程のモデル化を行った。モデルでは,学習が進むにつれて,プログラミングのそれぞれのスキルに対応するスキーマが構成されてゆくことを仮定している。現在,そのモデルの妥当性を検討するために,提案したモデルをプロダクションシステムの形式で構築しつつあり,計算機シミュレーションを通したモデルの妥当性検証の準備を始めている。
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