研究概要 |
本研究では,少数の例題からの帰納的学習を実現するためには,例題を一般化する際に,自らが所有する知識を積極的に利用することが重要と考え,既知の類似ルールを利用するという類推的な概念を導入した類推的一般化を定式化した. 類推的一般化の基本的枠組は,例題と既存ルールとの間の類似性を評価し,最も類似したルールをガイドとして例題を一般化することにより,新たなルールを生成するというものである.このとき類似性評価尺度の設定が重要となる.ここでは,与えられた事実と既存の知識から導かれる新事実の共通点を考慮することにより,事実間の類似性を評価することが可能と考え,例題とルール間の類似性を,各々を構成する原子式の演繹的閉包間の包含関係に基づき定式化し,形式的な操作による類似ルールの選択を実現した. 類推的一般化の有効性を実証するため,この考え方を基本原理とする学習手続きを開発した.手続きは(1)例題の拡張,(2)原子式とベースルールの選択,(3)選択された原子式の一般化,(4)述語の置換,(5)ルールの生成,の5つのステップから構成される.開発した手続きをワークステーション上に実装し,英文構文解析システムに対するルール生成実験を実施した.その結果,本手続きにより,既存の英文構文解析ルールを利用して,ある目標概念に対する英文の例題をもとに,その目標概念を適切に規定する新しいルールが自動生成されることを確認した.
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