今日、視覚障害者に対する情報伝達ルーツとしてオプタコンや視-触変換器、立体ディスプレイ等の触覚表示装置の研究が進められている。これらの技術を実際活用していく上で又、一般の生活機器をデザインしていく上でも機器操作形態における触覚デザインの意味とその領域の確立が必要である。本研究の目的は、形態における触と視覚的イメージの比較の調査に基づき、形態における晴眼者と視覚障害者の触覚的イメージの比較調査へ発展させることである。 今年度はまず、触覚的評価・イメージの要因、つまり手指による形態認知と形態の要素の関連性を基に研究を進めることが望ましく、視覚-触覚の両評価と因子構造を十分調査分析した上で形態サンプルモデルの検討と試作が必要であった。今回購入したハードディスク及び解析ソフトにより、晴眼者の形態における触-視覚的イメージの比較を、材料の異なる12形態サンプルを30評価モデル、12形容詞対尺度で因子分析を行った(調査1、2)。又、予備調査データ3、4に関しても同様集計、分析を行った。分析結果として晴眼者の場合、形態認知・評価は、視覚-触覚ともに形態の形状(大きさ、重さ、バランス、プロポーション、コントラスト、シンメトリー)に影響され、材質感(温冷、硬軟、祖滑、湿乾)の特性が表面触の認知・評価に心理的に作用することが明らかになった。特に、評価性因子では、視覚-触覚の高順位は必ずしも一致するものでなく興味がもたれる。しかし評価パネル数が少ない原因もあり、評価にかなりのばらつきが見られるものもあった。当初計画の最終段階まで進めることができなかったが、本年度の成果は、今後最終調査のサンプルモデルの形態を選出、制作するにあたり大きなポイントとなる。
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