研究概要 |
現在のマルチメディアシステムは,対話と出力方法が決まった特殊化された形式のオブジェクトを基本にして構成されている.そのため定型的な機能は高いが,柔軟性と拡張性に劣るものとなっている.多目的利用を考えた場合,オブジェクトはできるだけ汎用の形式でデータベースに格納し,それぞれの目的ごとに特殊化したビューの形式で各マルチメディアシステムおよび各利用者のマルチメディアインタフェースを構成すべきである. 従来のデータベースでは,ビューもまたデータベースであるという考えを基本としている.本研究では,実際に画面上に表示されたオブジェクト(表示オブジェクトと呼ぶ)をビューとして捉え,このビューとデータベースビューとの関係を明らかにした.この枠組みに基づくと,利用者インタフェースは,データベースのビューであり,必要に応じて動的に対応する表示オブジェクトを生成するための計算記述として定義する.ビュー定義としての計算記述により,動的に生成される表示オブジェクトを仮想ノードとし,ビュー定義を差分的に変更する計算記述により起動される仮想ノード間の遷移を仮想リンクと考えると,ビューを基本とする利用者インタフェースは仮想ハイパーメディアと見なせる. 上記の考え方に基づき,本科学研究費で購入したMacintosh Centris660av(Apple Computer Co.)上で,Visual Works/Smalltalk(Parc System Co.)という開発環境を用いて,建設省国土地理院の国土数値データを地理データベース化し,それから生成した対話地図オブジェクトをデータベースビューを基本としたハイパーメディアとして利用できる視覚的利用者環境を開発した.
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